伊勢神宮には参拝したことがあるので、いつか出雲大社にも参拝に行きたいということを母は常々言っていたのもあり、母の誕生日近くに休みが取れそう(というより取らないと会社から叱られる)というタイミングが合ったため行くことになった。 とはいえちょっといろいろあり自分は直前まで「出雲大社に行く」以外の部分をほぼ知らないまま、完全母プロデュースの家族旅行についていくだけのような形だった。
明け方で電車もなく、駅まで徒歩ではなく貸自転車で行こうと言われ自転車を借りた……が、母が暗くて見えなかったのかガードレールに突っ込んだり駐輪所がなくて諦めかけたりしつつもどうにかなった。急ぎの用事で貸自転車はやめたほうがよいともっと強く言ったほうがよかったと思う。
どうにか飛行機で出雲縁結び空港へ。店は気になるがそこから割と慌ただしく松江行きのバス、そこからさらにバス(レイクライン)で街の案内放送を聞きながら、確か京橋バス停まで。
遊覧船船着き場に向かう途中、コココ……と鳴き声のようなものがしたので振り返ったらおそらくコゲラっぽい鳥がいた。この時点でかなり嬉しい。都内にも一応いるけどなかなか見られないので。 母会社員時代の思い出の和菓子屋だという風月堂で黒小倉(シンプルな粒あん羊羹)と八雲小倉(羊羹をカステラで挟んだもの、これはすぐ食べようと二切れだけ)を買った。店内に棟方志功の揮毫があったり河井寛次郎も愛していたというような記事だったかがあったり。黒小倉はかなりどっしりしていた。 母が会社に勤めていたのは自分が生まれるより前で、「上司が出張のたびに土産に買ってきた、多分松江の店だった」「今も現役かわからない」「彩雲堂や風流堂ではないがそんな感じの名前だった気がする」という情報からインターネットでひたすら検索してここがまだ現役であるとわかったのでかなり嬉しそうだった。
船着き場一駅め、カラコロ広場前へ。 ここまでではないけど川に囲まれた場所出身なので、町中に川が流れているのはなんとなく親しみを感じる。静岡県の三島あたりでもそれがある。しかも宍道湖なんて汽水だもんな、普通の川と棲む生き物が少し違うのもかなり嬉しい。
乗船して、一番最初にあるのが橋の下をくぐるときのレクチャー。これは乗る度にある。 船の高さより橋が低い部分が四箇所あるので、合図されたらこたつに突っ伏さないと通れない。 思っているよりしっかり屋根に潰されるので、ちゃんと突っ伏さないといけない。

通常時 3月なので座席がこたつになっている

橋の下を通るときは屋根がこれくらい下がる
松江城前の船着き場で一旦降りる。 頭痛というか気持ち悪さが若干あって、睡眠時間かとも思ったが朝食を食べていない事に気づき、船着き場併設のカフェでしじみの味噌汁を飲んだ。ちょうどギリギリ寒しじみの頃だし、とちょっと行儀を気にせず身をしっかりほじり出して食べていた。貝の出汁ってなんでこんなに美味いんでしょうね。コハク酸だそうです。

出航待ちに飲んでいた宍道湖しじみ汁(左)、母は出雲ぜんざい(右)

堀川にいた水鳥
川なだけあり水鳥がたくさん見られたのが本当に嬉しかった。オオバン、カイツブリ、カモ、キンクロハジロなどがいた。カワウなんか船が怖くないのか近くを泳いでいたのでエメラルドグリーンの目まで観察できた。 ホシハジロ(写真中央近くの白っぽい胴に赤い頭の鳥。あれはオス)といえばディズニーシーのケープコッドでたまに浮いている鳥という印象があったんだけど、ここにもいるんだ。まあいるか。 ともかく越冬してそろそろ渡りが始まる鳥がまだ残っていて嬉しかった……船頭さん曰く先週はもっといたし来週辺りにはもう皆飛ぶんじゃないかと言っていたので、本当にギリギリだったと思われる。
あとは松江城近くの木の上、岸、いたるところにアオサギ。

船着き場前にあった耳なし芳一像

小泉八雲記念館前
松江で一時期過ごしていた小泉八雲の記念館。怪談(和訳版)くらいしか読んだことがないが、例えばクレオール料理の本などもあった。他に使っていた机、服や帽子、眼鏡、子どもからもらった手紙など。朗読コーナーは時間がなくて聞けなかったが、佐野史郎と山本恭司……山本恭司!? VOW WOWの!? 母が好きなので子供の頃からよく聴いていたバンドだ。 怪談そのものというより、小泉八雲というずっと片道切符の人生に焦点を当てていた感じ。 自分の創作キャラクターに小泉八雲を(一部だけ)モデルとした水輝というキャラクターがいるのもあるけれど、来られてよかった……というか思っていたより時間が足りなかった。時間帯の都合でバスとかの乗り継ぎがちょっとよろしくなく、これを逃すと宿のチェックインに間に合わないというのが多くて。 その創作キャラ、とあるゲームにも派生キャラのようなかたちで出していたんだけど自分が体調を崩して動かせなかったので今回思い出したついでにどこかでまた出せたらな、というのを思った。
→北摩アザーサイド怪奇譚というWEBゲームに出します。出したらリンク貼ろう。